回路構成の選択肢の一つとしての電流帰還型アンプについて、論理的な解析は専門書にお願いするとして、電流帰還型アンプをdiscreteで組む場合の回路構成について、Current-Feedback op-ampの等価回路を参考にしながら考察してみたいと思います。
・初段は、電圧帰還型の差動構造とは異なり、2段直結エミッタ・フォロワー構成のbuffer (unity gain)回路になっており、
(+)非反転入力---数kΩ~数MΩの高入力インピーダンス。
(-)反転入力---数十Ω程度の低入力インピーダンス。
・2段目が唯一gainを有するTrans-impedance
stage (I→V変換)
Zt(Trans-impedance) = Rt // (1/jωCt)
<Rtは伝達抵抗、Ctは伝達容量と呼ばれるパラメータ>
Rtは、初段bufferの出力抵抗と出力段bufferの等価入力抵抗の並列和。
Ctは、位相補償容量Ccompに等しくなります。
上図初段bufferのIinをTrans-impedance stageで (I→V変換)を行い、終段bufferの高入力インピーダンスを負荷としてgainを得ています。
・電圧帰還型と同様、非反転、反転増幅が可能ですが、電流帰還型の(-)反転入力側は非常に低入力インピーダンスである為、前段回路の負担が増加し、反転増幅回路は一般的に実用的ではありません。
電流帰還型構成が製品に採用された例を下記に、DC offset対策としてDC servo回路が付加されています。
下図discreteで組まれた電流帰還型アンプの設計例、終段プッシュプル・エミッターフォロワのバイアスは簡易的にダイオードが使用されています。
初段bufferは、下図の様に勿論J-FETによるソース・フォロワで構成する事は可能ですが、J-FETの入手難、また、特性のバラツキの大きさから、[東芝の場合Idss分類がGR(2.60~6.50mA),BL(6.0~12mA)、同一ランクでも大きくバラツク]、従ってIdssやVgsの特性を揃える為には、大量の在庫からの選別が必要であり、現実的ではありません。
(参考文献)
「解析OPアンプ&トランジスタ活用」黒田 徹著 CQ出版社
「続トランジスタ回路の設計」山本 誠執筆章 CQ出版社
「アナログ回路応用マニュアル」島田 公明著 日本放送出版協会
ANALOG DEVICES notes