[Symmetrical BJT Differential Input & AC-Amp]
AC-amp 構成にすると100% DC negative feedbackによりDC領域で gain = 1となり、出力に現れるDC offset電圧は初段差動回路の入力offset電圧のみとなります。そこで初段差動回路のDC offset電圧最小化に腐心する事となります。
・差動回路を構成するBJT (bipolar junction transistor) の特性を揃える。
・emitterを縛るconstant current sourceの精度を上げ、温度係数の補償を施す。
しかし、complementary dual- transistorは入手不可の為、前回同様入手容易な東芝2SC1815 / A1015を無選別で使用する事を命題としています。
前回試作した(transistor / LED) current source、LEDの温度に対する電圧変動は無視できますが、transistor |Vbe|の温度係数(-2.0mV~-2.5mV/℃)を相殺出来ないので、前回の実験ではDC offsetゼロ調整後、局部加熱テストでDC offset driftが±数十mV程度変動し実用性を欠く結果に至っています。そこで、まず下記constant current source回路の温度係数を補償、或いは相殺する構成に変更してみます。
current source回路をcurrent mirrorとしてtransistor |Vbe|の温度係数を相殺し、constant current sourceにはBJTより温度変化に鈍いJ-FETとします。
実験結果として、
・DC offsetゼロ調整時、無選別C1815 /A1015の為、TR1(100Ω)では取り切れない場合があり、数個の差し替えが必要になりました。
・ゼロ調整後のdriftは、局部加熱テストで±20mV前後変動します。(唯、シャーシ内に組み込まれた場合、環境温度として相対的に変動するものと思われ、局部的な温度変化の可能性は低いと思われますが) 室温でのDC offset driftは±数mV程度に収まってはいます。
実用性を考慮してDC offset driftを±1mV以下に抑えるとしたら、やはり初段差動transistor (Vbe、Hfe)のmatchingの必要性と熱結合、次段transistorの温度係数による変動も検討しなければなりません。