2020年11月16日月曜日

" Gibson ES-335 Dot " & " YAMAHA SA2000S "

 [ Gibson ES-335 Dot 1990 ]

 私が所有している個体です。customオーダー等ではなく、当時日本国内の輸入代理店であった山野楽器扱い、ナッシュビル工場製作の通常量産品(レギュラー・シリーズ)です。 (山野楽器は2006年12月末米国ギブソン社との輸入代理店契約を終了しています)。bodyはplain top、3-ply Laminate (Maple/Poplar/Maple)。3-plyと言っても要はPoplarの平板にMapleの化粧板を接着プレス成型した合板です。Fホールの断面は黒色塗装されています。
<因みにPoplarと言う木は、ヤナギ科でアジア、北米、ヨーロッパにかけて北半球に広く分布し、材質は軽軟で加工乾燥は容易だが、耐朽性等は低い。と言う素性の材料だそうです>
 唯、遡ってみて、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロなどに使われている素材は、一般的にネックは楓(メイプル)、指板は黒檀(エボニー)、body表板はスプルース、裏板、横板(側板)はメイプル、魂柱はスプルースが使用されています。

 ES335の生産は1958年から始まり、1974年までは、ボディトップ、バックの3-ply構造は(Maple/ Spruce /Maple)で、センターブロックも(Maple/ Spruce /Maple)の合板だったと思われますが、1965年以降の機種に(Maple/ Mahogany /Maple) の3層材を持つものが含まれ、Fホールの断面が黒色塗装されている様です。これら合板素材による音色の違いが小さいとは言えません。塗装は antique naturalで、fingerboardは出来るだけ黒々としたrosewoodを選びました。
 最も、ギブソンにもコスト削減の波は厳しく、このレギュラー・モデルのヘッド・トップは突き板に黒く薄い樹脂(プラスティック板?)が貼られ、それにGibsonロゴとクラウンインレイが嵌められています。また、サウンドホール内に貼られたシリアルラベルにはGibson USAとModel名 ES-335 DotとSerial No.のみしか記載されていない簡素さです。
 Pickupは、ブリッジ側に1980年代後半〜1990年代初頭のGibsonレギュラー・シリーズ Les Paul等や国産Orville by Gibsonに共用されていたThe Original HB-L (通称 基盤Pickup)、ネックサイドがPAT.NO.2737842刻印の型番不明P.U.が装着されていました。
 残念ながらこの基盤Pickup は評判が芳しくなく、在庫処理後ラインナップから消えています。これらオリジナルで装着されていたPickupの印象は、出力が比較的低く、ブリッジ側でもhighは望めず、音像がこもった様な音色で、Pickupの特性がそうなのかbody素材に起因するものなのかは分かりません。
 しかし、Pickupをresonant peakの高いSeymour Duncan SH-1 59 modelに交換しても高域の抜けの悪い傾向は変わらない為、neckと body素性が音色の多くに関わっているものと思われます。Guitar amp製作上の試奏用に購入しましたが、残念ながら殆ど使わずお蔵入りとなっています。この頃のネックグリップは比較的薄い印象で、58年初期の極太ネックに憧れますが。トラブルに関しては、Grover tunerの樹脂リングが裂けて離脱したので交換しています。それ以外、使用頻度が少ない事もあり本体に大きな問題は生じていません。

 ネットで拾った1990年前後のレギュラー・シリーズのシリアルラベル画像を下記に添付してみます。
 そこで興味深い事に気付きました。Model名が“ES 335”,“ES Dot 335”, ES 335 Dot”等々多くのModel名が存在する事です。また、Reissueと称されるModel機種には全機種ではありませんが、57 Classic Pickup搭載が散見されます。


[ YAMAHA SA2000S ]
1979~1983
Body ; (top) Arched Solid Spruce / (back&rim) Beech
Neck ; Mahogany
Fretboard ; Ebony
Pickup ; A-I×2
 私が所有している個体は1980年頃かと思われ、40年を経過しています。ボディー及びセンター・ブロックは非常に堅牢に作られており、重量はLes Paulタイプよりも重く、ネック・グリップは太く、握り心地はしっかりしています。ネックの反りや歪みは見られず、トラスロッド調整は殆ど行った事がありませんが、フレットの突端が浮き気味になって来ており、フレット打ち換え時期が来ています。ヤマハ銘入ダイキャストペグはガタが顕著で交換予定です。バイサウンドpush-pull S/Wは早々に壊れた為、シングル・コイルタップをハムバッキングのみの接続にしています。また、樹脂タイプのoutput jackが崩れSwitchcraftに交換しています。オクターブ調整がしやすいGibson保守部品のABR-1タイプブリッジと交換しようとしたら、形状及び取り付けピッチがヤマハ・オリジナルサイズで互換性が無く、Gibson ABR-1のブリッジ取り付けピッチ穴をザグッて調整し、その後エポキシ樹脂で取り付け穴整形しました。セミアコ形状のpotやjack交換作業は非常に手間取るので、信頼性、耐久性のある部品の採用を望みたいものです。
 Topは Spruceですが、back&rim素材のBeechが勝っているのか、比較的硬質な音色でsemi-hollowと言うよりも semi- solidと言う印象の出音傾向ですが、pickupは秀逸で出力も充分有り高域の倍音も豊かで、pickup単品商品として販売して遜色無い完成度です。

2020年11月2日月曜日

"MJT Telecaster Thinline"

 [Allparts “TRO-V” MJT Aged Neck and MJT Custom Aged Finish “VTL Model” Body]

 今回中古で購入した標記個体は、Allparts neck、MJTが仕入れたbodyをMJTがAged塗装し、
個人または工房が部品をアッセンブリー、組付けされたものと思われます。(或は下記fat-guitarにより組付けられたものか?)
 因みに、Allpartsは比較的妥当な価格で良質の素材を提供しているsupplierです。
(neckヘッドにMJTのブランドロゴが無い為、MJTで完成個体として販売されたものではない。) 
詳細は下記に記しますが、neckとbodyの嵌合処理は見事で、取り付けビスを外してもbodyからneckが外せません。
しかし、ポケットに塗装の回り込みは見られます。
その他の使用パーツも充分納得できる素材が採用されています。
唯、残念ながら出音が………?
 この個体は、東京都北区赤羽「fat-guitar」と言うshopが2015年に中古MJT Telecaster Thinline として扱い、売却された様です。
その時の画像がyutubeにアップされていますが、敢えてTelecasterの音色を抑えたかのような出音です。
その後の転売履歴は不明ですが、茨城県の店舗が NO BRAND 扱いとしていたものを購入し、私がカスタムしました。

(neck) Allpartsの刻印とMJTのスタンプが有り、Allparts “TRO-V” Neck素材にMJTがAged塗装した個体。
(body) はMJTのスタンプのみなので、MJTが仕入れた素材にAged塗装されたものと思われます。
Body素材は非常に軽量なswamp ashです。 

<ALLPARTS TRO-V REPLACEMENT NECK FOR TELECASTER®>

$195.00
・21 vintage frets (.079" x .043")
・Maple neck, Vee shaping, sanded, unfinished and ready to spray
・Rosewood fingerboard
・7.25" radius
・Nut width 1-5/8"
・Heel width 2-3/16"
・Tuning Peg Hole Diameter .340"
・Truss Rod adjustment at heel
・Neck thickness .90" at first fret, 1.00" at twelfth fret
Unless otherwise noted, all necks are made of the highest quality wood in either the United States or Japan. No two necks are exactly the same and may differ slightly from what is pictured. All necks have a Limited Warranty against defects in materials and workmanship. Warranty does not cover normal fret wear or customer modifications. Unless otherwise noted, this neck is licensed to Allparts Music Corporation by Fender® Musical Instruments under a quality control trademark license. Allparts Music Corporation is not affiliated with Fender® and no Fender® warranty applies.
 All necks may require fret leveling and polish, and may need to be fine tune to fit your instrument. This is normal and not a defect. All necks should be carefully inspected prior to installation and/or modification. All wood is unique with individual growth patters. Allparts cannot warranty a neck that does not get a sealer/finish put on it, as humidity, sweat, and temperature can cause the neck to warp and twist.

 <MJT Custom Aged Guitar Finishes  VTL Model>

Body Custom Order – Our Body Custom Order includes your choice of wood type (alder, swamp ash, mahogany, alder with maple top), color, yellowing degree, aging degree (closet clean, light, medium or heavy), and checking degree. You can see examples of colors, yellowing, aging, and checking degrees in our Galleries section.
MJT Price - $399
(上記Allparts、MJT双方北米の各ホームページをコピーしたもので、北米国内の希望小売価格です。
これを日本国内で入手するとなると、輸入等に係る付帯コストが付加されるので北米表示価格の倍は想定する必要があります。)

(pickup) は裏面に表示がないので不明ですが、線材は確かなもので配線されています。
(bridge) Fender PAT. PEND、ブラスサドルのビンテージスタイル。
(電装関連) CRL、SWITCHCRAFT等定番素材。
(コンデンサ) 1960年代後期?のSprague Black Beauty 0.0047uF <hi-pass用>、
Cornell Tiger Wax? 0.1uF <tone用>が各々使用されていますが、
双方の容量値が一般とかけ離れたものが装着されており、
過去にこの様なコンデンサ容量値で組まれていた機種が存在したか、
製作者の嗜好かどうかは不明です。
 出音はと言うと、High落ちのコモッタ様な音色でどうも使えません。
原因はpickupの特性か、コンデンサかその容量値に起因するものなのか? 
50余年の歳月を超えたビンテージ・コンデンサに過大な期待はせず、
まずhi-pass用のコンデンサを撤去し、
tone用を現代の容量値で、pickupした音質を損なわないMKP (Metallized Polypropylene Film)タイプに交換してみました。
Vol.Pot.可変抵抗値は250kΩか500kΩにするか悩ましい所ではありますが、
Telecasterのsingle pickupの特徴を生かすには500kΩが妥当かと思われ、
定番の東京コスモスの密閉型RV24シリーズを使いました。
 pickup出力は今風の高出力タイプではなく、ビンテージタイプと言えば良いのか通常single coil出力レベルの様です。
軽量swamp ash bodyの生音は良く、この生鳴りを何とか生かしたいと思います。

<左側;購入時の部品、右側;交換使用した部品。>



(single coil pickupのノイズ対策)
single coil pickupのノイズは侮り難く、キャビティー内への導電塗料の塗布や銅箔の貼付、
ピックガード内側に銅箔(アルミ箔等)の貼付などで外来ノイズからのシールドを施して確実にGNDに落とす。
試行錯誤を繰り返しながらノイズに対するガードを高めて行く努力は裏切りません。
“Bartolini pickup”には及びませんが、確実にノイズの低減は図られます。
Allparts “TRO-V” neckですが、「7.25" radius」指板のアールが意外に深く、
PGMのフラットな指板に慣れた私には非常に弾きづらく思えます。
  また、2本の弦を一つのサドルにしたFenderの3連bridgeは、非常に大雑把な仕様で、
個別にピッチ調整を望む場合は、GOTOH GTC201(互換性を確認の上)等に交換する事をお勧めします。
  Thinline は、mahogany bodyにsingle coilと言うのも捨て難く悩ましい所ですが、
私はashの箱bodyを一度試してみたかったので購入してみました。
唯、Telecasterのsingle coil pickupはサイズ、取り付け形状等が専用で、
stratoタイプのsingle coil pickupと互換性が無く単純にリプレイス出来ません。
例えば、ノイズの少ない“Bartolini pickup”を装着しようとしてもサイズ、取り付け形状、ピッチ等が異なり、
ピックガードやブリッジプレートの大規模な加工を必要とします。
この辺がTelecasterの選択を慎重にさせる所でしょうか。

(GOTOH GTC201 Bridge)
 MJT VTL bodyについて、軽量swamp ashは奏者に優しく、身体的負荷を労わりますが、
ストラップを付けて立つとヘッド落ちします。重量のあるhard maple neckの方により重心が行くからですが、
この状態は演奏しにくく、歓迎される事ではありません。何らかの対策を考えなければなりません。
そこで、正確なピッチ調整確保も兼ね、2本の弦を一つのサドルにしたFENDER PAT.PEND.のオリジナルから
「GOTOH GTC201 G」同等品(プレート、サドル共にブラス素材で、重量がFENDER オリジナルbridgeの
2倍以上あると思われる)に交換してみました。
bridgeプレート取り付けビス位置は全く問題ありません。尚、bridgeプレート肉厚は3mm程度あり
非常に重量感と安定感がオリジナルbridgeより増します。
 唯、弦高調整用サドルネジに10mm長が付属しており、長過ぎて上部に突出してしまう事から
手持ちの8mm長の物に交換しましたが、neck が7.25" radiusでプレート肉厚が3mm程度ある為、
まだ、サドルネジが飛び出している状態のままです。
そこで、更に短い6mm長のステンレスネジでプレートに接する箇所に充分の面取りが為され、
より点で接する事が可能な品種を購入し交換しました。
 また、サドルネジの共振を誘発しそうな遊び、ガタ対策として、粘度の高いシリコングリスを少量充填しました。
bridgeプレートとサドルを繋ぐピッチ調整用ボルト付属スプリングのストロークが不足する物が見られ、
手持ちのスプリンクから必要長の物に交換しました。
結局、各部品の適正化に係る部品手配等に結構手間取りました。
付属部品のみの初期段階では、どうも共振の様な感触が発生する箇所が見られましたが、
上記諸々のマイナー部品交換や油脂等によるセッティングで何とか完了しました。
 互換性は完璧なので、再び不具合が生じた場合は何時でもオリジナルbridgeに戻す事が可能です。
「ヘッド落ち」に関しては、GOTOH GTC201の重量がbodyに付加され多少改善されましたが、
まだneck重量の方が勝っている感じです。

( Telecaster neck「7.25" radius」の苦悩)
 Gibsonモデル(ES-335, Les Paul等)から持ち替える、或いは初めてTelecasterを選択する際、
“Vintage type”と言う言葉に幻惑されて7.25" radius neckを購入してしまった時点から苦悩が始まります。
Gibsonタイプ・ネック12”R(304.8mm)からFender 7.25”R(184.15mm)に持ち替えた場合、
最も違和感を生じるのがFender Telecaster初期タイプの7.25” R (184.15mm)のキツイ半径円弧の指板ですが、
1、2弦を一音bendingしようとした場合、まず3弦位置付近のフレットに接触してしまう事象が濃厚です。
そこで、仕方なく1、2弦の弦高を相当高めにセッティングせざるを得なくなります。
しかし、弦高を高めにセッティングするにも限度が有り、演奏上の素早い指運が難しくなるジレンマに陥ります。
通常使用の3倍程度の弦高にセットしたとしても、半音のbendingが限界ではないかと思われるほど7.25" radius
の円弧はキツイもので、通常の弦高ではまずbendingを多用する演奏は望めません。
(コード・ワークのみの演奏用途であれば問題無いかと思われますが)

   < Radius > (R) – 指板円周上の曲面を描く半径
   ・7.25”R = 184.15mm (Fender Telecaster初期、ビンテージタイプ等)
   ・9.5”R = 241.3mm (モダンFenderタイプ)
   ・12”R = 304.8mm (Gibsonタイプ)
   ・16”R = 406.4mm (アコースティックギター等)
                                             (ESPより引用)

そこで対策として、1、2弦bending時に接触する3弦位置前後のフレット部分の円弧(radius、アール)を削り、
少なくとも9.5”R(241.3mm)以上に、よりなだらかになる様に(bending時接触しない様に)すり合わせ作業を行い等々の試行錯誤が始まります。
しかし、充分な工具や治具を持たない素人作業では、望む様な結果を得る事は難しいと思われます。
結局9.5”R以上、10”R、12”R等のradius neckに買い替える事になり兼ねません。
 その場合、Fender製neckに拘る必要は無く、Fender規格やFender licenseのneckで10”R~12”R程度のリプレイス・ネックは多数流通しており、
detachableの特性を生かしてnut width、neck radius、neck profile、トラスロッドの種類や調整位置等、
自身の望む形態のリプレイス用ネックを選択する事をお薦めします。

因みに私自身の推奨スペックは、
“nut width” --- 1-11/16” (42.87mm)、或いは43mm程度
“radius (R)” --- 10”R~12”R程度のフラットな指板
“neck profile” --- 握りに問題が無ければ、グリップは太い方が良く、
Telecaster®に採用されているディープUシェイプ・ネック、
「ベースボール・バット」ネックとも呼ばれる太いグリップ、
或いは、Warmothの “fatback”と呼ばれる所謂極太ネックが好ましい様に思われます。

(ノイズ対策 / 導電塗料塗布)

pickup交換時に、ノイズ対策として導電塗料をキャビティー内に塗布してみました。
・F.pickup ⇒ Bartoliniに交換、
・R.pickup ⇒ ST59-T1b (Little 59 for Telecaster)に交換、
 F.とR.pickupの位相チェックは、テスター抵抗レンジで簡易的に行っています。
・Potは「東京コスモスの密閉型RV24シリーズ」⇒ CTS EP 0886 に変更、
 RV24シリーズはシャフト部分と裏蓋の間が樹脂素材で、構造上ピックガード裏のグラウンドが取り難く、
 シャフトから裏蓋まですべて金属のCTSに変更、但しRV24シリーズとCTSのシャフト径が異なり
 (CTSの方が少し大きく6.35φの為、ノブは共用出来ないので注意が必要)
・水性 導電塗料 (有限会社 ギターワークス 大阪府摂津市より購入)
50ccと150ccが有り、1~2本の処理であれば50ccで充分です。
塗布作業には、医療用使い捨てラテックス手袋等 (布製手袋はNG、浸透して手や爪に付着し
除去するのに苦労します)とウェットとドライ・ティッシュ双方を用意します。
水性ですのでウェット・ティッシュで拭き取る事は可能ですが、ナチュラルや白っぽい塗装の
ボディーは傷や隙間に浸透して完全には除去出来ず、醜くなる場合があるので、
塗布するキャビティー以外のボディー表面はマスキングする事を薦めます。
塗装、塗布は一度に多量の塗料を付けず、一層塗布して乾燥させ、二層目塗布して乾燥、
三層目塗布して乾燥させると言う手順で導電層を塗り重ねて行く事が大切です。
乾燥は遠目にドライヤー掛けで時短が出来ます。
導電塗料塗布するキャビティー内にボディー塗料の回り込みが有る場合、導電塗料の付きが悪いので
除去出来るのであれば取った方が良いですが、取れない場合は根気良く導電塗料を塗り重ねる事です。
尚、導電塗料が塗装された面でも、銅箔や導線よりもある程度の抵抗値を持つので、
信号電流を流す事は避け、シールド効果のみに使用し、確実にグラウンドに落とす必要が有ります。
Thinlineのコントロール・キャビティー内側の形状は複雑で、素人が完璧に塗る事が難しいので、
底面と筆が届く範囲で塗布し、ジャック・プレートに落ちる様にしました。

 導電塗料塗布加工後のノイズ低減効果について、F.pickupの Bartoliniについては、
P.U.単体でシールドされ元々ノイズが少ないので、ほぼ問題の無い程度に低減されていますが、
R.pickupの ST59-T1bは、コイル、マグネット等その構造レイアウトに起因するものなのか、、
Humbucking接続にしているにも関わらず、(起電力が大きいと言う事も有りますが)
少なからずノイズを拾ってしまいます。

2020年10月17日土曜日

" ERIC GALE "













Eric J. Gale (1938920日~1994525

 説明不要な北米を代表するセッション・ギタリスト、或いはスタジオ・ミュージシャンでした。
まず、その感性を煽るギターの音色とフレーズに耳目が引き付けられ、
その次にどの様な楽器や機材を使っているのだろう、
或いは、どういう奏法で演奏すればこの様に魅力的な音色が出せるのだろうか、
と思いが巡って行くのは自然の成り行きだと思われます。
Gibson Super 400 CESが印象的で、非常に多彩な音色を生み出し、
そのトーンは一度聴いたら耳から離れない程エモーショナルで、
表現するに適切な言葉が思い当たりません。
(フルアコ、メイプルネック、スプルーストップ、メイプルバック) Super 400 CES
のアタック感がありながら余韻を残すクリーン・トーン、
他の機材では望み得ない様に思われます。
  他にも、Grant GreenのGibson L-7C McCarty Unit付やES-330 P-90 の音色も同様に印象深いものが有りますが。
双方の音色に、スプルーストップ、メイプルバックのGibsonフルアコが大きく貢献しており、
これが現代ES-335の様なメープル-ポプラ-メープルの合板や、
Fender Thinlineのマホガニーやアッシュでは、
異なった音色にならざるを得ないのかもしれません。

[Gibson Super 400 CES]










Body top; spruce
body side back ; maple
neck ; 5 piece / maple-walnut-maple- walnut- maple
fretboard ; ebony

 [Gibson L-7C McCarty]












body top ; spruce
body side back ; maple
neck ; three-piece maple
fretboard ; Brazilian rosewood



(Gibson Super 400 CESL-7C McCarty画像は、ビンテージギター販売ショップの画像を使用させて頂きました。)
 唯、Eric Galeは、session guitaristとして要求された音色をまさに多種多様に繰り出し、
共演するmusicianにより、アルバムにより、
或いは一曲一曲異なる音色を生み出す稀有なguitaristでした。
従って、実際にはスタジオで、その時に要求された音色を生み出す為、
定番のGibson Super 400 CESだけでなく様々な種類のギター、エフェクター、アンプを駆使して演奏していたものと思われます。
YouTubeに1984年渡辺貞夫氏のコンサートに参加した際のリハーサル画像が残っており、
Musicmanらしきアンプを背にして、足元にはエフェクターボードが僅かに覗いて見えます。
  Eric Galeがsession guitaristとして参加したアルバムや共演したミュージシャンは膨大で割愛させて頂きますが、
自身の代表的なリーダーアルバムを数点以下に記します。
1973 (Kudu) Forecast
1975 (Micron) Negril
1977 (Columbia) Multiplication
1977 (Columbia) Ginseng Woman
1979 (Columbia) Part of You
1980 (Columbia) Touch of Silk
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 session musicianとして同業のdrummer Steve Gaddのドラムも出色である事を追記したいと思います。 

2020年5月26日火曜日

"12 Equal Temperament "


 [ 12 equal temperament ] 12平均律
1オクターブを等比数列で「12」等分割する音律。
オクターブ(octave)とは、2倍の周波数比(周波数比“2:1” )を持つ音程。
8度の音程を意味するラテン語“octavus”から派生している。
公比(21/12)を「12」掛け算すると2倍の周波数(octave)になる関係。









2020年1月30日木曜日

" MOON CROCODILE Lock Tuner -Ⅱ"


 1980年後期から1990年前後のMOON ブランドguitarの多くには、CROCODILEロゴのlock tuner (GOTOH製造)が装着されており、私の所有するストラト・モデルにもCROCODILE Lock Tuner -"が付いていました。ペグは消耗品で弦交換時のlock/unlock、チューニング作業等を繰り返す事による摩耗やガタ、弦のテンション等によるシャフトの偏芯等々で、ある程度の疲弊時期が来ると交換が必要になって来ます。私の物はすでに30年以上使い続けており、今までに数度交換作業を行っておりアフター・マーケットで入手可能なGOTOHの標準タイプ "SD91-05M-6L" 換装しています。 

(取り外したCROCODILE Lock Tuner -Ⅱ、シャフトのネジ山が殆ど摩耗している)
長年使い続けた事によるネジ山の摩耗状態で、空回りしtunerの寿命を終えています。

(; CROCODILE  ; SD91-05M-6L)
上図、左; CROCODILE ペグから ; SD91-05M-6Lに交換する場合、ちょっと画像では判別が難しいですが、CROCODILEのシャフト外径(ブッシュ内径)SD91-05M-6Lのそれより0.数ミリ小さい為、ブッシュを共有出来ず打ち換え作業が必要になります。


(ブッシュを抜く工具)
上は、ブッシュ内径両端幅を有するマイナスドライバー、下はGOTOHペグ購入時に添付されているジグ。ショックや振動、ギターヘッドに傷をつける可能性のある木槌等の使用は避け、両手の力でジワリと押して抜いて行きます。

私は、上のマイナスドライバーを使用しています。


(ギターヘッドのブッシュ穴を広げる工具)
私の場合は、ブッシュの内径は若干異なりますが、穴を広げなくても打ち換え可能でした。唯、リーマーを使って穴径を広げる場合でも、過度にザグル必要は有りません、ブッシュの尖端が穴径に臨む程度で良く、後は、ギターヘッド穴に亀裂や割れを起こさない様慎重にブッシュを圧入して行きます。

(ブッシュ圧入クランパー)
市販のクランパーを使い、加工したアルミ板にラバーシートを貼付し、上下ギターヘッドに傷を付けずにブッシュ全体に加圧出来る様なジグを簡単に制作して使っています。ギターヘッド穴にブッシュを垂直に臨ませ、ゆっくりジワリジワリとクランパーを締め込み圧入して行きます。


(交換完了状態)
一度SD91-05M-6L用のブッシュを換装すれば、以降SD91-05M-6Lを使い続ける限り、ブッシュの打ち換え作業は不要で木ネジの脱着だけでペグの交換が出来ます。 

尚、KlusonGROVERSchaller等各社取り付け形状の統一規格を設けていれば、ユーザーはより自由にペグの選択が出来たであろうと思われ、非常に残念ではあります。ペグやLock機構に関して、毎年多くの特許出願がなされ、その内の幾つかは商品化されては淘汰され消滅しています。願わくば、今後商品化されるKlusonタイプ・ペグだけでも取り付け形状寸法等の統一規格を設けてもらえれば、交換作業の煩雑さの解消が期待出来ます。