2021年1月25日月曜日

" OP amp with MOSFET current booster output"

 (J-FET入力op ampプラスMOSFET電流ブースター構成)
  analog deviceの絶版が趨勢となり、J-FET等の流通在庫が減少するに伴って価格が高騰しています。
更に、J-FETは特性のバラツキが大きく、差動回路や対称回路を組む場合、選別には多数の母数在庫が必要です。
そこで、部品ラックに眠っているJ-FET入力op ampを電圧増幅段として活用し、
MOSFET電流ブースター付加構成にする事により、選別工程を不要とし、
母数在庫を保有せずとも手持ちのdeviceで、省スペース、小点数部品、小出力power ampを制作します。
op ampはJ-FET入力タイプ(TL071, LF356, LF411, OPA134等々)であれば、汎用タイプで問題ありません。
  設計事例の参考回路を下記にて。
  上記二つの設計事例は、各々文中にも記載されている様に温度補償過多で温度上昇に伴ってアイドル電流が減少します。
本来的には、温度が上昇しても安定したアイドル電流値を維持する温度補償スタックを望みたいものです。

  今回製作した( LF411による電圧増幅段、MOSFET current booster output )回路を下図にて。
op ampは、我が家の部品棚に眠っていたLF411を電圧増幅段に、
終段はこれまで度々試作して来たON/OFF Switching用途のK2232 / J334を使用しました。

  op amp出力がbooster 動作中点に設定されるようにバイアス回路を工夫しています。
MOSFETは、J-FET同様特性にバラツキが大きく、
同一機種でも異なる個体では、同バイアス電圧でもアイドル電流値が異なる事が普通です。
また、Switching用途のMOSFETをLinear動作Audio Ampに流用している事もあり、
power ampで設定される一般的なアイドル電流値(50~100mA程度)のカーブの立ち上りが急峻で、バイアス設定には慎重を要します。
更に、温度補償に関して、BJT(Bipolar Junction Transistor)の温度係数は一般的に(約-2.5mV/℃程度)として温度補償の設定が可能ですが、
MOSFETはKタイプとJタイプで温度係数が異なり、また個々の機種によっても個別の温度係数を有しています。
しかも、データー・シートからpower ampに使用する上記アイドル電流値の温度係数を読み解く事は非常に困難な作業と言わざるを得ません。
  一般的なpower amp設計の際、終段素子のバイアス回路は温度補償機能を兼ねます。
そこで、上述した様にMOSFETは個体特性差のバラツキが顕著で、しかも機種により固有の温度係数を有しており、
同一素子を使用しない限り再現性に乏しい事から上図(要調整バイアス回路部分)には数値を定数化する事を慎みました。
制作される方は、個々終段に使用する素子固有のバイアス値、温度補償を工夫される事をお勧めします。
 製作した実機は、試行錯誤により50mA程度のアイドル電流と、温度上昇しても極端にアイドル電流が減少しない温度補償値に設定しました。
headphone amp用途で製作した為gainは抑えた数値としています。


" OP amp with MOSFET current booster output" (改訂回路)

この度、LF411に変えてOPA134を使ってこの回路を踏襲し、低出力アンプを製作しようとした所、
前回 [op ampはJ-FET入力タイプ(TL071, LF356, LF411, OPA134等々)であれば、汎用タイプで問題ありません。]と記載しましたが、
OPA134では確実に発振或いは動作不安定となってしまい、このままの回路では再現性に乏しい事に気付きました。
また、TL071、LF411等でも方形波レスポンスでは、多少の差異は有れ、
ほぼ全てオーバーシュート、リンギングが発生しており、
前回の動作チェックで見逃していたものと思われます。
(1KHz前後 オーバーシュート) (10KHz超え 派手なリンギング)
(他のホームページの画像を使用させて頂きましたが、方形波レスポンスはこんな感じです)
比較的高域周波数帯域に幾つかのピークが生じている様で、
正弦波に入力を切り替えてその周波数帯域を観察してみると、
(100kHz以上~500kHz程度の付近)に断続的ピークが見られました。
ピークを生じている周波数帯域を回避、或いは使用用途の周波数帯に支障がない程度に
リンギング発生周波数帯域を排除する対策を施して行きます。
C1によりピーク発生周波数帯域を多少コントロールします。
帰還抵抗にC2をパラって周波数帯域に制限をかけて行きます。
各々Cの容量は、個々使用OPアンプにより、また回路構成や終段半導体の種類により、
或いはOPアンプの出力に連なる容量負荷等により、使用用途の周波数帯域等により
一概に特定できない為、CUT and TRYが必要です。

今回は終段K2232 /J380、パッシブDCサーボを付加しています。



K2232 / J380をC3421 /A1358 P.P.エミッタ・フォロワー低出力インピーダンスでドライブし、今回はこの回路で実験を行いました。







こういう回路も組んでみましたが、2段直結P.P.エミッタ・フォロワーは、
まず発振し易く、また、終段のMOSFETバイアス調整が非常に面倒な事もあり、お蔵入りとなりました。


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。