2016年9月15日木曜日

Chapter Ⅰ "MOSFET Power Amp" (設計編)

<2SK2232 / 2SJ334> 

①Power MOSFETの選定 (東芝半導体 2SK2232 / 2SJ334)
audio用途と銘打ったdeviceは大半が廃品種枠となり、入手可能な素子は非常に高価であり、今回は試作実験を繰り返す予定でもあり、比較的入手容易な4V駆動用スイッチング・デバイス、
東芝 2SK2232(生産終了予定品)とし、勿論コンプリメンタリーは設定されていないので、特性が近い 2SJ334(生産終了予定品)としました。
 2SK2232    Vth  0.8~2.0V      Ciss  1000pF
   2SJ  334     Vth  -0.8~-2.0V   Ciss  3300pF
 Vth以上でIDを駆動するスイッチング素子を、数10mAのアイドル電流でリニア回路に使う難しさと、高い入力容量を充放電するゲート・ドライブ回路が必要になって来ます。更に、TO-220のフルモールド・パッケージになっているので、絶縁スペーサー無しで放熱板に取り付け出来ますが、その代償としてチャンネル・ケース間の熱抵抗が高く放熱に工夫が要求されます。


<ゲート・ドライブ回路>

②ゲート・ドライブ回路の設定
稲葉 保著 「パワーMOSFET活用の基礎と実際」 2004  CQ出版社発行 より引用参照
 パワーMOSFETはドライブ電力が小さくスイッチング速度が速いので、高速スイッチングとして優れた特性を持っていますが、実際にスイッチング周波数を高速化して行くとスイッチング損失の増加、スイッチング・ノイズの増加、インダクタンス負荷に於けるパワーMOSFETの破壊などの諸問題を解決する必要があります。トラブルを解決し正しく動作させるには、パワーMOSFET自身のゲート特性、ゲート・ドライブ回路技術、実装技術などの基本的知識を必要とします。
 パワーMOSFETの入力インピーダンスは極めて高いと言われていますが、これは直流から低周波領域での話しです。高速スイッチング時や高周波領域では静電容量の影響によって低インピーダンスを示します。よって、ゲートをドライブするには相応の電力を必要とします。
 パワーMOSFETの高速スイッチングを妨げる要因として、大きな入力容量 Ciss があり、ゲートに電圧を加えるとその電圧がゲート入力容量 Ciss に充電され、この電荷が放電されるまでゲートはON状態が保たれます。パワーMOSFETを高速スイッチングさせるには、ゲート入力容量 Ciss を素早く放電させる事の出来るゲート・ドライブ回路が重要になります。
 従って、ゲート・ドライブ回路は出力インピーダンスを下げる高速動作のバッファー・アンプであると共に、ある程度のドライブ電流で充放電可能な電力供給プッシュプル・エミッタフォロワ回路の設定が必要です。

<2SK2955 / 2SJ554  ゲートドライブ回路例>

アイドリング電流安定化回路ZSABCを搭載した 2SK2955 / 2SJ554 パワーアンプ製作記録
「進化するパワーアンプ Evolve Power amplifiers」 上條信一氏 ホームページより引用
 

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